過去の購買記録だけでなく、現在の顧客の興味を把握して商品を薦め、購入確率を高める手法。ネットショップだけでなく、店舗でもスマートフォンを使って実現できる環境が整ってきた。


 顧客の過去の購買履歴を分析して、興味を持ちそうな商品を勧めることで、購入確率を高めたり、ついで買いを促進したりする「レコメンデーション」。いまや多くのECサイトがこの機能を持っていますが、過去の情報分析が「今」の気分にぴったりとは限りません。普段は節約して割引率の高い商品を好む顧客が、時として高級品を“清水買い”することもあるでしょう。

 顧客の現在の気分や嗜好をつかんで適切なアクションを起こすのがリアルタイム・ワントゥワン・マーケティングです。現在の閲覧情報に基づいてレコメンデーションを生成するECサイトが増えています。

 加えて、実店舗でも顧客の今の気持ちを捕捉する取り組みが始まっています。強い味方となるのがスマートフォンです。

事例:買い物リストと連携

 仏大手スーパーのカシーノは、独SAPのクラウドサービス「SAPプレシジョン・リテーリング」を導入し、店頭でリアルタイム・ワントゥワンを実践しています。

 顧客はスマホにダウンロードした「お買い物リスト」のアプリに、購買を予定する商品を入力しておきます。店舗に入ったことが位置情報データで確認できると、スマホに様々なお勧め情報が配信されます。

 例えば牛肉を買う予定の顧客に対して、当日のお買い得品の情報を発信します。購買履歴から顧客の嗜好や購買動向を分析。店舗のリアルタイムの売れ行きや在庫状況などと照合し、顧客の興味を引くレコメンデーションをスマホに表示します。