石黒 裕佳子=NTTデータ経営研究所 公共行政サービスコンサルティングユニット コンサルタント

 「LINE」は、主にスマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイス向けの無料のメッセージ交換・通話アプリケーションです。

 「LINE」アプリケーションをインストールしたデバイス間では、携帯電話サービスなどの通信事業者が提供するメールや通話のサービスを使わずに、インターネット通信により無料でメッセージ交換、音声通話ができます。メッセージ交換機能は、スマートデバイスに限らずPCや従来の携帯電話でも利用でき、通話機能はスマートデバイスとPCに対応しています。

 サービスは、韓国のIT企業NAVER(旧NHN)の日本法人であるLINE株式会社が提供しています。日本では2011年にサービスを始め、スマートフォンを利用する10代から30代を中心に普及し現在、利用登録者数は5000万人を超えています。サービスの提供地域はアジアを中心とした世界各国にも広がり、全世界での利用登録者数は4億5000万人を超えました(2014年6月時点)。

 「LINE」のメッセージ交換機能は、従来のメッセンジャーやチャットと同様に、送受信する短いテキストメッセージを時系列に沿ってデバイスの画面上に表示していきます。テキストメッセージのほかに、画像、動画、音声などのファイルや位置情報の送受信も可能です。

コミュニケーション範囲はTwitterやFacebookとは異なる

 LINEが提供する最も一般的なサービスは、メッセージ交換機能です。特徴は、簡単に送受信できる1万種類以上の独自スタンプや絵文字が提供されている点と、受信メッセージを確認したことを示す「既読」表示が行われる点です。

 独自スタンプは、テキストメッセージ中に表示する従来の絵文字とは異なり、独自のキャラクター画像を単独で送信し画面上に表示します。これにより、テキストメールによる言語コミュニケーションと同時に、画像が表す感情による非言語コミュニケーションが可能となるため、操作が簡易でありながら、より幅広い表現が可能なコミュニケーションツールとして利用者に受け入れられています。

 一方、「既読」表示については、メッセージの送信側にとっては相手の確認状況を把握できるため便利な機能であるものの、メッセージを確認したにもかかわらず返信を行わない「既読無視」や、受信側が返信を求められることへの心理的負担を表す「LINE疲れ」といった言葉が登場するなど、弊害も指摘されています。

 国内では現在、LINEはTwitterやFacebookと同様に、広く普及するソーシャルメディアの一つとして認識されてきています。ただし、TwitterやFacebookとはコミュニケーションを行う範囲の点で違いがあります。

 TwitterやFacebookは、公開範囲の設定を行わない限り、発信者が出した情報は不特定多数の人々が閲覧可能であり、また情報の拡散性が高く公開範囲を限定した場合でも公開相手を介して情報が広がっていく可能性があります。