Bluetoothは、2.4GHz帯を利用した短距離無線通信規格である。パソコンとその周辺機器、携帯電話端末やスマートフォン、ヘッドセット、センサーデバイスなど、幅広い分野で使われている。

 Bluetoothの大きな特徴は、2.4GHz帯のISM(Industrial、Scientific and Medical)バンドを利用している点だ。ISMバンドは、国際的に無線免許なしで利用できる周波数帯。ユーザーにとっては同じ機器を世界のどの国でも使え、メーカーにとっては製品仕様を統一して安価な製品を作れる。

 周波数の使い方にも特徴がある。2.4GHz帯に1MHz幅の79チャネルを設け、625マイクロ秒ごとにランダムに切り替える(周波数ホッピング)。2.4GHz帯全体をまんべんなく利用して、ノイズの影響を抑えている。

 Bluetoothの通信は、最大8台の端末が一時的に作る「ピコネット」という小さなネットワーク単位で行う。1台のマスターを中心に最大7台のスレーブがつながるスター型の構成である。

 Bluetoothの仕様は、ニーズに合わせて改定されてきた。例えば、2009年には、無線LAN(11bや11g)の物理層/MAC層を利用して伝送速度を高速化する「HS」が策定された。2013年に策定された最新の4.1では、対象となる無線LAN規格として11nも追加している。

 2010年に策定された4.0では、超低消費電力を実現する「LE」(Low Energy)を追加した。IoT(Internet of Things)のセンサーデバイスなどへの応用を考慮している。iPhone(iOS 7)に搭載されている近接通信技術「iBeacon」はこの仕様を活用したものだ。

 LEには、消費電力を低減する仕組みのほか、接続の確立までの時間を短縮したり、機器の製造コストを減らしたりする工夫が施されている。1チャネルの帯域幅を既存の1MHz幅から2MHz幅へ広げ、周波数を切り替える時間を既存の625マイクロ秒から1.25ミリ秒以上へ延長した。また制御用チャネルを既存の32本から3本へと減らした。これにより、データのやり取りの回数を減らして消費電力を下げるとともに、無線デバイスの精度が低くても済むようにしている。

図●Bluetoothの主な仕様
図●Bluetoothの主な仕様
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