企業のIT部門が、情報システムを利活用する事業部門との関係を強固にするための管理手法。これを導入すれば、経営強化に貢献するITシステムの構築や管理がしやすくなる。


 アベノミクスで企業の設備投資の拡大が期待されています。IT投資も例外ではありません。IT投資といってもビッグデータ分析、クラウドサービス、インメモリー・コンピューティング、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と様々です。「どの業務にどのようなITを適用しようか」と、頭を悩ます事業部門の責任者は少なくないことでしょう。

 そんな事業部門の悩みを解消するためには、IT部門が事業部門とこれまで以上に密接な関係を築き、議論を重ねて施策を考案し、実行に移さなければなりません。事業計画の策定段階から、事業部門とIT部門が情報を共有し、計画を実現するために最適なIT施策について協議、実践することが理想的です。

狙い:ビジネスに役立つITを提案

 こうした理想を実現するために注目されているのが、ビジネス・リレーションシップ・マネジメント(BRM)です。IT部門が事業部門と密接な関係を築き、ビジネスに貢献する情報化を進めるのに有効な管理手法です。「BRMの活用で、今まで以上に事業に貢献する情報システムの構築やデータ利活用が進み、競争力を高められる」。ガートナージャパンの松原榮一・リサーチ部門バイスプレジデントはこう指摘します。

 聞き慣れないかもしれませんが、BRMという言葉が登場したのは、2000年半ば。このころ策定された、ITサービスの国際規格「ISO 20000」などに、BRMの考え方が盛り込まれ、管理対象となるプロセスごとに手順や実践すべき事柄が文書化されています。