小売りや流通の店舗にカメラを設置して顧客の購買動向を追跡し、その分析結果を仕入れや陳列に生かそうという動きが本格化しています。こうした取り組みを店舗顧客トラッキングと呼びます。概念自体は以前からありましたが、ITの進化で店舗での購買動向を以前よりも定量把握しやすくなったことから注目されています。

 これは、「どの商品棚に足を止め、どのような商品を手に取っていたかどうか」や、商品棚にとどまっていた時間・人数などのデータを、カメラを使って収集する取り組みです。これらのデータを分析し、来店客の購買を喚起するような商品の棚割り・陳列、販促などについて最適な方策を練るわけです。

 この動きを後押しするサービスも登場しています。米国ではプリズム・スカイラブスが有名です。日本ではITベンチャーのミディー(東京・渋谷)が2013年5月、米マイクロソフトの「キネクト」の技術を活用したカメラを店舗内の商品棚など複数箇所に設置し、顧客の購買動向を分析するサービスを始めました。同社は近い将来、個人のスマートフォンやタブレットと連携し、ある店舗に1週間来ていない顧客に向けて商品クーポンを発行するなどの販促につなげることを検討中です。

 ネットの世界では顧客の購買動向を追跡することは常識ですが、リアル店舗の世界でもデータを収集・分析し、新たなサービスを生み出せるかどうか。プライバシーに配慮しながら、顧客を追跡する仕組み作りが盛んになりそうです。