格安SIM(Subscriber Identity Module)は、安価なモバイルデータ通信サービスの一種。一般に、月額1000円以下の基本料金で提供され、データ通信量や通信速度に一定の制限が設けられているデータ通信サービスを指す。携帯電話事業者から携帯電話のネットワークを借りてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の形が多い。

 格安SIMに分類されるサービスは以前からあったが、2013年にサービス数が増加して注目度が高まった。NECビッグローブの「BIGLOBE LTE・3G エントリープラン」やNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE 30MB/日コース」などプロバイダーが提供するサービスや、日本通信の「b-mobile X SIM」などMVNO専業の事業者が提供するサービスがある。価格とサービス内容の両面で競争が激化している。

 格安SIMは通常、一定期間内の通信量の上限を規定して、そこに達するまでは従来のLTEや3G(第3世代携帯電話)サービスと同等の通信速度で使える。規定の通信量は「1カ月で1Gバイト」「1日当たり30Mバイト」などサービスによって様々だ。これを超えると、最高通信速度を100k~256kビット/秒に抑える。この規定通信量は、一般に月間7Gバイトに設定されている従来の携帯電話サービスよりも大幅に少ない。ほとんどのサービスがデータ通信専用で音声通話を省いている点も、従来のサービスとは異なる。用途を絞り、制限を設けた分、料金を低く抑えている。

 規定量を超えた際に規定量を追加購入したり、追加料金なしで使える公衆無線LANサービスをバンドルしたりして、利便性を高めたサービスもある。通話に関しても、スマートフォン用アプリから使える050番号のIP電話サービスをオプションで提供して補うサービスがある。

 格安SIMで提供するのは、端末に挿すSIMカードだけ。SIMカードは、Webの通販サイトや一部の量販店で販売する。これを利用者が購入し、サービスのWebサイトなどで自ら加入手続きをすると使い始められる。

 端末は、基本的にユーザー自身で調達する。利用可能な通信事業者を限定しない「SIMフリー端末」を使うのが原則だが、SIMロックのかかった端末が使える場合がある。格安SIMのサービス事業者は、動作を確認した端末のリストを公開している。また、接続設定済みのSIMフリー端末と格安SIMのパッケージを販売している事業者もある。