3次元(3D)プリンターで作成した立体物に動きを与える最先端技術。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者、スカイラー・ティビッツ氏が考案・提唱しました。同氏は2013年2月、カリフォルニア州ロングビーチで開催されたTEDカンファレンスで、3Dプリンターで作ったひも状の試作物が水中で自動的に変形するデモ映像を披露。3Dプリンターで作る立体物の新たな将来性を示しました。3Dプリンターは、CAD(コンピュータによる設計)データから3次元の模型を手軽に作る装置です。

 4Dプリンティングでは、「動き」に関する情報を素材/材料が保持します。環境に応じて変形することを記憶した複数の素材/材料を組み合わせ、立体物として成形。それが温度や水分、振動、光などの変化に応じて変形する仕組みです。

 ティビッツ氏が進める4Dプリンティングの研究開発は、3Dプリンター大手の米ストラタシスや、CADソフトを手がける米オートデスクも参画しています。ストラタシスは、固さや弾力性などの異なる様々な素材/材料を開発中。オートデスクは、3Dプリンターで作った立体物が目的通りに変形するかどうかをシミュレーションするための4Dプリンティング支援ソフト「サイボーグ(開発コード名)」をティビッツ氏に提供しています。

 4Dプリンティングが実用化されれば、自動的に組み上がる家具やポケットに入る自転車など夢のような製品が登場しそうです。防災にも有効でしょう。平時は河川敷に小さな状態で置かれた物体が、豪雨で多量の水分を吸収すると自動的に配水管として変形し、排水溝に水を流して水害を食い止める。その研究成果が社会を便利で安全にします。