スマートフォンで商品のバーコードなどを読み取ると、ネットショップやリアル店舗の価格情報を表示して比較できるアプリ。店で実物を見て、より安いところで商品を購入する消費行動を手助けする。


 家電やパソコンなどのIT(情報技術)ツールをはじめ、商品の購入を検討する際、パソコンで価格比較サイトにアクセスし、最安値で提供するネットショップに注文を出す――。インターネットの普及に伴い、こうした消費行動は既に常識として定着しています。

 こうしたなか、スマートフォンやタブレット端末で商品の価格を調べられるツールとして人気を博しているのが価格比較アプリです。スマホのバーコードリーダーを使い、商品コードをスキャンすると、この商品を扱う通販サイトや店舗での価格が表示されます。

 消費者にとっては、欲しい商品を見つけた瞬間に、その場で最安値の店をネットと実店舗の区別なく調べられるメリットがあります。商品名や商品コードをいちいち入力しなくても、バーコードをスマホなどで読み取るだけで価格を調べられるので、パソコンより手軽といえます。流通業者にとっては、こうしたアプリをうまく使えば、他店の店頭にいる顧客を、自社の店舗やネットショップに引き寄せることが可能になります。

 パソコンからスマホへと消費者が使うITプラットフォームが大きく変わるなか、価格比較の対象も拡大しています。従来あまりパソコンを使っていなかった主婦でも、スマホなら気軽に操作できるため、食品や日用品を対象とした価格比較アプリも生まれています。

効果:食品や日用品にも拡大

 自動的に価格を比較するわけではありませんが、スマホでお得な買い物をするために注目を集めているのが電子チラシサービスです。凸版印刷が提供する「Shufoo!(シュフー)」は、スーパーや衣料品店、家電量販店、ホームセンターなどのチラシをパソコンやスマホで閲覧できます。

 住んでいる地域を指定すると、周辺の店のチラシを閲覧できます。パソコンでは2001年から展開しているサービスですが、スマホでも利用できるようにしたことが功を奏し、2年前に比べて利用者数は30倍に増えています。

課題:価格競争の激化で大手有利

 価格比較アプリの普及は、リアルの店舗にとってはデメリットもあります。せっかく顧客が店頭に来てくれても、実物を確認するだけで別のネットショップなどで購入されてしまう可能性があるからです。それが「ショールーミング」です。店頭では商品の実物を見るだけで、実際の購買は他店で行われるからです。

 スマホによって商品の価格情報がより入手しやすくなり、価格競争が激化して、より体力のある大手流通や巨大ネットショップばかりに顧客の注文が集中する傾向が強まることは否めません。小売りは生き残りをかけ、自社でしか買えない独自商品を開発したり、商品説明や利用シーンの提案など、価格以外のサービスを拡充したりすることがますます求められるでしょう。