例えば、運行中の航空機のエンジンや燃料、操縦システムの状況をインターネットで総合的に把握。空港で停止するなり補修や点検を行えば、時間や燃料を節約できる。遅れも防ぎ、効率化が進む──。

 このように航空機や電車、ガスタービンなどの産業機器の運行や部品の状態などをインターネットで総合管理する概念をインダストリアル・インターネットと呼びます。この利用に関する論文を米ゼネラル・エレクトリック(GE)が2012年11月に発表しました。

 米国のテレビ番組の司会者はこれを「米IBMは『スマータープラネット』を提唱している。これと似たネット活用キャンペーンではないか」と指摘しました。ですが、GEのディレクターであるピーター・エバンス氏は「それは違う。産業機器にインターネットを盛り込むことで製品機能を高める」と番組で答えています。

 航空機や医療機器などの製造事業を手掛けるGEにとって、円滑な稼働や素早い補修、燃料の節約などは常に大きな課題です。その答えをネット活用に求めています。ビッグデータ時代だからこそ出た発想です。

 実際にGEは11月、米カリフォルニア州に400人の研究員を抱える研究施設を開き、その実現に走り出しています。また、GEはニューヨークの名門病院と提携し、効率経営についてのプロジェクトを進めています。患者の協力を得て、1日の行動やベッドにいる時間などを把握。病院側の人員や機器は適切か調べます。

 入院患者の行動パターンが分かれば、その時間だけ職員を増やすといったように、低コストで最大効果の運営方法を探れます。GEを見て追随する企業が出そうです。