ネット上で買い物をする際に、最終的な購買行為の前に接触したサイトや広告の間接的な貢献度を算出すること。マーケティング予算の配分などに役立つ。


 ダイエットに効くといわれるサプリメントAが気になって、ネットで検索したところ、商品を扱うネットショップの検索広告が表示されたので、一番上に表示されたショップBで購入した─。

 この場合、ショップBの売り上げに直接貢献したのは検索広告です。とはいえ、消費者がAという商品を検索するまでには様々な情報が影響を与えているはずです。女性に人気のポータルで知ったのかもしれないし、そのポータルが発行するメールマガジンで興味を持つようになったのかもしれません。

 このように、最終的な購買行動に至る過程で接触したネット上のメディアを分析し、それぞれの間接的な貢献度を定量的に分析するのがアトリビューション(寄与)分析です。複数のメディアの貢献度を割り出すことで、貢献度に応じてネットマーケティングの予算を効果的に割り振ることができます。

効果:適材適額の予算配分を支援

 ネットマーケティングの分野では過去数年、検索広告に注目が集まり、バナー広告などのディスプレー型広告や、メールマガジンに埋め込まれたテキスト広告のシェアは低下しています。検索語を打ち込んで商品情報を探す人は「何が欲しいのか」がはっきりしているので、そうした「顕在顧客」に情報を提供すると、購買に結び付く可能性が高いのです。

 しかしこうした顕在顧客を奪い合っていると、いつか需要は飽和します。そうならないためには、需要が顕在化する前の「潜在顧客」に向けて適切な情報を発信し、購買意欲を高める必要があります。

 アトリビューション分析では、購買に至る以前のネットの閲覧履歴データから、各メディアに閲覧ポイントを配分して貢献度を割り出します。これに応じてマーケティング予算を割り振り、商品の認知や興味を高めていきます。こうすることによって、検索広告に比べると費用対効果が不確かとされるディスプレー型広告の価値も定量的に計測できるようになり、マーケティング担当者が多様な広告を併用して成果を出しやすくなるのです。

事例:Hadoopで分析

 貢献度を定量化するには、大量の閲覧履歴データを分析する必要があります。そのため大規模データの分析処理技術「ハドゥープ(Hadoop)」などを使って取り組む事例が増えています。リクルートでは住宅情報サイト「SUUMO」でHadoopを活用したアトリビューション分析を実施しています(104ページの「改革の軌跡」を参照)。顧客の閲覧履歴を基に広告予算の投資ポートフォリオを見直し、提携サイトや広告配信用のアドネットワークなどに割り振っています。分析結果に基づいて予算を配分することで、意思決定のスピードも速くなりました。