携帯電話など移動体通信方式の「世代」(Generation)は、ITU(国際電気通信連合)が定めた、目指す速度や利用する周波数、採用する要素技術の違いなど様々な要件による区分のこと。「4G」とはつまり、第4世代という意味である。

 もともとは、ITUが定めた「IMT-Advanced」に準拠した規格を4G、「IMT-2000」に準拠した規格を3Gと呼んでいた。しかし最近になって、以前なら3Gに分類されていた様々な通信規格も4Gと呼ばれるようになった。ユーザーにとっては非常にわかりにくい状況だ。

 当初の4Gには技術的な要件があった。ITUがIMT-Advancedの要件として挙げたのは、電車や自動車の乗車中など高速移動時に下り100Mビット/秒以上、徒歩などの低速移動時に1Gビット/秒の通信速度が実現できることなどだ。これに該当する規格として承認されたのが、LTE-Advancedと、WirelessMAN-Advancedの2つである。LTE-Advancedは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)が策定したLTEの後継規格。WirelessMAN-Advanced(IEEE P802.16.1)は、IEEE(米国電気電子学会)が策定した4G向けの規格である。

 一方で米国などの通信事業者の中には、LTEなどIMT-Advancedに当てはまらない通信規格を、サービス開始当初から「4G」という名称で売り出しているケースがあった。LTEはそれ以前の3Gの通信方式に比べると、要素技術などの観点ではLTE-Advancedに近いところがある。そこで、以前の3Gとの差異を強調するためにも、LTEをマーケティング上「4G」と位置付けていたと推測される。

 このように、厳密には3G扱いだった規格をマーケティング的に「4G」と呼ぶ通信事業者が増えてきたことを受け、ITUは2010年にLTE、さらにはモバイルWiMAXと、初期の3G規格に比べて発展した通信方式に対しても「4G」と称してよいと発表した。国内ではKDDI(au)やソフトバンクモバイルなどの通信事業者が、LTEを4Gとして売り出している。