まるで遊牧民のように場所を移動しながら、社外で仕事をする働き方のこと。東日本大震災以降、オフィス以外で仕事をすることを認める企業が増えている。


 街中のカフェでノートパソコンを広げ、仕事の資料を作成したり、電子メールを確認したりする。こんな光景をよく目にするようになりました。こうしたワークスタイルを取るのは、今まではフリーで仕事をする人や企業の営業担当者のような外出が多い人が中心でした。

 ところが2011年3月の東日本大震災以降、事業継続を目的に社外でも仕事ができる環境を整えることが急務になってきました。このように社外で仕事をするスタイルをノマドワーキングと呼ぶことがあります。従来は情報漏えいなどを恐れて禁止している企業が多かったのですが、ここにきて内勤者の在宅勤務を含めて認めるところが増えてきました。 

効果:集中して効率アップ

 事業継続以外にも、ノマドワーキングには仕事の生産性を上げるメリットが期待されています。通勤時間を無くしたり、電話対応などで中断されずに仕事に集中できたりするからです。週に1度程度の在宅勤務を認め、その日を創造的な仕事に充てるといった使い方が多いようです。

 ノマドワーキングを実施するうえでは、IT(情報技術)の支援が不可欠です。リモートアクセス環境を社員に提供し、ノートパソコンやスマートフォンなどからVPN(仮想プライベートネットワーク)経由で会社のパソコンやサーバーにアクセス。企業の情報システムやパソコン内のデータを利用できる環境を整える企業が増えています。

 ただし、自宅以外でのノマドワーキングには慎重な企業も少なくありません。端末の紛失による情報漏えいを防ぐ必要があり、会社から遠隔で紛失したスマホのデータを消去できるといった工夫が求められます。また、カフェや交通機関など人目の多いところでは機密性の高い情報を扱わないといった運用ルールを、事前に社員に浸透させておくことも重要です。