データの読み込みや書き出しを高速にするため、ハードディスクとのデータのやり取りを無くしてメモリー上で一連の処理を完結する技術。


 ビッグデータから企業が有益な情報を素早く抽出・分析するのに有効な技術として注目を集めているのが、インメモリー・コンピューティングです。インメモリー・コンピューティングはハードディスクを使わずに、メモリーだけで演算処理を終える技術です。ハードディスクとのデータのやり取りが発生しないため、データの読み込みや書き出しを高速にできます。現在の主な用途はデータベースです。

効果:潜在的ニーズを掘り起こす

 そもそもインメモリー・コンピューティングが脚光を浴びるようになったきっかけは、メモリー価格の大幅な下落です。データ圧縮技術の進化も相まって、サーバーに大容量のメモリーを積みやすくなり、インメモリー・コンピューティングの普及に向けた下地が出来上がりました。企業が導入するうえでのハードルがぐっと下がったわけです。

 膨大なデータを高速に処理できれば、顧客の要望に素早く応えられる環境を整えやすくなります。証券取引所を例に挙げると、各証券会社から集まる注文を瞬時に処理することで取引所としての魅力が高まり、より多くの顧客を市場に呼び込めます。システムの性能向上がビジネスに直結する典型例といえるでしょう。

 顧客の潜在的なニーズを掘り起こす場合にも効果を発揮します。最近であれば、SNSを通じてやり取りされる非定型のデータをシステムに取り込んで瞬時に分析できれば、好機を逃すことなく企業はその時々の状況に応じて顧客が一番望む情報提供ができます。