オンライン(インターネット)のサービスを利用する顧客を、オフラインである実世界の店舗に誘導して購買を促すこと。クーポン共同購入サービスの利用などが該当する。


 インターネットが普及して以来、顧客の商品購入プロセスが様変わりしました。気になる商品を見つけると、まずはネット検索して調べ 、口コミの評価などを確認。それから店舗に足を運んで購入するという行動パターンが増えています。オンライン(インターネット)の情報が、オフラインである店舗での購買行動に影響を与えているのです。

 このような状況を踏まえて、オンラインで先に販促キャンペーンなどを展開し、店舗に顧客を誘導しようとする企業が急増しています。こうした販促策は、O to O(オンライン・ツー・オフライン)と呼ばれます。O2Oと記述することもあります。例えば「グルーポン」のような割引クーポンの共同購入サービスの利用がこれに当たります。

効果:ネットの情報で集客

 ネットを使って実店舗に顧客を誘導しようという発想は、10年以上前から存在します。多数の店舗を抱える企業がウェブサイトと組み合わせて相乗効果を狙う手法としては、クリック・アンド・モルタルがありました。

 それに対し、新たにO to Oという言葉が登場した背景には、ネット企業の思惑があるといえます。米アマゾン・ドット・コムや楽天といったEC(電子商取引)事業者が急成長しているものの、オンラインの市場規模はまだ全体の数十分の1程度。つまり消費者はネット以外の場所で大半の商品やサービスを購入しています。そこで店舗を保有する企業の集客支援を目指すネット関連企業が増えてきたのです。こうしてオンラインからオフラインに送客するという意味を込めたO to Oという言葉が生まれました。

 ネットを利用した集客支援としては、利用者ごとの嗜好に合わせた割引クーポンを発行するといった施策が考えられます。閲覧したウェブサイトや検索キーワードのような利用者のネット上の行動情報に基づき、関心や好みを分析して個別のクーポンに仕立てるわけです。顧客の区別なく発行するクーポンよりも高い集客効果を期待できます。

 また、スマートフォンの普及と、GPS(全地球測位システム)機能を応用した位置情報サービスが発達してきたことも、O to Oが注目を集める要因です。スマートフォンを持ち歩く人はいつでもどこでもネットに接続できます。店舗の近くを訪れた顧客にネットを介してタイムリーに情報を提供し、来店を働きかけられるようになったわけです。