離れた場所にいるメンバーを束ねて、1つのチームとして運用する手法。IT(情報技術)ツールの活用で同期・非同期の連携が可能になった。


 日本で開発した新商品を新興国で生産し、欧米でも同時に発売する─。国の垣根が無くなり、市場が全世界に広がった今日、複数の国や地域のメンバーが連携してプロジェクトに取り組む例が増えています。離れた場所にいるメンバーを束ね、1つのチームとして運用する手法がバーチャル・チームです。顔を突き合わせたリアルなコミュニケーションと同様に、仮想の「職場」でも緊密に連携した共同作業を実現しようとするものを指します。グローバルなプロジェクトだけでなく国内でも、社外のパートナー企業や、在宅で働く専門家などと連携するうえで、バーチャル・チームを組織する必要性は高まっています。

効果:遠隔で意思疎通

 バーチャル・チームを運用するうえで欠かせないのがITです。テレビやウェブ、電話を使った会議システムが安価に導入できるようになったことで、離れた場所にいるメンバー同士が肉声を聴き、顔を見てミーティングができるようになりました。これらのリアルタイムのコミュニケーションツールに加え、メールやチャット、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など非同期でメッセージをやり取りできるツールを使えば、時差に縛られず連絡を取り合うことができます。

 ただしITツールを使ってコミュニケーションを取る際には、独特の“作法”も必要になります。バーチャル・チームに詳しいピープルフォーカス・コンサルティングの山田奈緒子シニアコンサルタントは「電話会議では、ファシリテーター役の人が発言者の名前を呼んだり、発言後に内容を要約したりして、誰が何を話したかを他のメンバーが理解しやすいように支援することが必要」と指摘します。

 直接顔を合わせることが少ないと、仕事に必要な情報のやり取りはできても、目的意識や仕事に対する価値観を共有したり、意見の対立を乗り越えて合意を形成したりするのが難しくなりがちです。プロジェクト発足時などに全員が集まってチームビルディングをすることも検討すべきでしょう。