人と人のつながりを図式化した相関図や、その基となるデータのこと。多数のネット利用者・事業者間で共有し、販促などに役立てる動きが活発になっている。


 ソーシャルグラフとは人間関係や、それを図式化した相関図のことです。映画やテレビドラマの設定資料によくある「主人公AさんとBさんは夫婦関係、AさんとCさんは親子、AさんとDさんは近所同士」というキャラクターの関係を示した図とほぼ同じです。

 こうした人間関係の情報はネット上にもあります。例えばミクシィや米フェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には、友達を登録する機能があります。また、友人同士で助け合いながら農園や街などを育てる「ソーシャルゲーム」など、人間関係を利用するサービスが増えました。そこでSNSや通販事業者などの間で、こうした人間関係の情報を共有しようという考え方が広がっています。

効果:知人の薦めは効果大

 もともと人間関係の情報は、ビジネスにおいても重視されてきました。例えば、保険や不動産などのセールスにおいて、顧客にその商品に関心のありそうな別の人を紹介してもらうのはよくある話です。

 ネット上においても、親しい人がある商品を称賛するとき、単に広告を見せられるよりも関心が高まりやすいといわれています。そこでこうした人間関係のデータ、すなわちソーシャルグラフだけを切り出して、企業が共用しようというわけです。

 企業にとっては販促にも活用できますし、新サービスを立ち上げるたびに「友達を登録しよう」と働きかける必要がなくなります。利用者にとっても、あちこちのウェブサイトに同じような人間関係を登録し続ける手間が省けます。

事例:楽天やアマゾンが販促に活用

 こうした共用の対象として、現時点では大手SNSが保持しているデータが有力です。世界最大手のフェイスブックが「Open Graph」というコンセプトを発表。ほかのウェブサイト運営企業がフェイスブックの「いいね!(Like)」ボタンを自社サイトに埋め込めるようにしました。このボタンを押すと、フェイスブック上のソーシャルグラフでつながっている友人・知人に推薦した事実が伝わる仕組みです。

 国内SNSのミクシィも「mixiチェック」という、同様のサービスを始めました。同業のグリーやディー・エヌ・エー、さらにKDDIなども相次いで追随しました。

 通販事業者側では、楽天やアマゾンジャパンなどがフェイスブックとmixiチェックのボタンをすべての商品に付け、利用者が簡単な操作で知人に商品を紹介できるようにしています。