メーカーや出版社などが運営する電子書籍の販売サイトからダウンロードした、雑誌や単行本といったコンテンツを読むためのタブレット型端末や専用端末のこと。


 電子書籍市場が盛り上がりを見せています。矢野経済研究所によると、国内の市場規模は右肩上がりで伸びています。2010年度は670億円に達する見通しで、さらに2014年度には、2010年度比で2倍超となる1530億円規模まで拡大すると予測しています。

 市場の拡大に伴い、2010年から国内外のメーカーが電子書籍を読めるタブレット型あるいは専用の端末である電子書籍リーダーを相次ぎ投入しています。日本で最も普及している端末は米アップルのiPadです。調査会社IDCジャパンによると、発売直後の2010年7~9月期だけでiPadの出荷台数は18万台に上りました。現時点では、国内における電子書籍リーダーの大半を占めており、市場のけん引役になっています。

効果:1台に数百冊を保存

 電子書籍リーダーのメリットは、リーダー1台に数百冊もの電子書籍を保存できることです。大量の本を自由に持ち運べるうえ、多様なコンテンツをいつでもどこでも読めるようになります。端末の重さも、シャープが2010年12月に発売した「ガラパゴス」のモバイルモデル(5.5型)なら約220g。通勤客が片手で電車のつり革を握り、もう片方の手で端末を持てるほどの軽さです。語句の検索も容易なので、本の楽しみ方が広がります。

 もっとも普及が始まったばかりなので、課題も山積みです。現在は電子書籍の規格が乱立しており、端末によっては読めないコンテンツが出てきます。電子書籍の規格には米アマゾン・ドット・コムの「AZW」やアップルが採用する「EPUB」、シャープが日本語の特徴を考慮して開発した「XMDF」などがあります。規格を標準化する動きも出始めていますが、各社の思惑が絡んでいて、解決の糸口は見えていないのが実情です。

動向:国内メーカーが猛追

 先行するiPadを追いかける形で、国内メーカーが2010年末から続々と電子書籍リーダーを発売しています。シャープのガラパゴスに加え、ソニーの「リーダー」やNTTドコモの「ブックリーダー SH-07C」などがそうです。

 ただし電子書籍の購入方法には違いが見られます。例えばガラパゴスはカルチュア・コンビニエンス・クラブと共同で立ち上げた「ツタヤ ガラパゴス」や、大日本印刷(DNP)とドコモ、DNPの子会社である書店連合CHIが共同展開する「トゥ・ディファクト」の2つのサイトから直接買うことができます。一方、ソニーのリーダーはバックライトを無くして消費電力を抑え、1回の充電で2週間程度の連続使用が可能ですが、端末からではなくパソコンに接続して専用サイトから購入することになります。