IMAP(アイマップ)はInternet Message Access Protocolの略。メールの受信に使うプロトコルである。メーラーやメールサーバーに実装されている。バージョン4であるIMAP4が最新版。IMAP4の最初の仕様は1994年に作られたRFC1730で、最新の仕様は改訂が加わったRFC3501だ。

 IMAPの最大の特徴は、メールをクライアントのメーラー側ではなく、メールサーバー側で管理する点にある()。メール受信用のプロトコルとして広く利用されているPOP(ポップ、Post Office Protocol)の場合、メーラーがメールサーバーからメールをダウンロードして管理する。一方のIMAPの場合、メールはメールサーバーに保存しておき、メーラーからの操作に応じてメールサーバーが様々な処理をする。メールサーバーにメールを保存しておくので、複数のクライアントからメールサーバーにアクセスして自分のメールを読むことができる。また、POPのようにメールをすべてダウンロードすることがないため、ネットワークにかかる負荷も少なくて済む。

図●IMAPの特徴
図●IMAPの特徴
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 メールの受信用プロトコルではPOPが一般的だが、最近はIMAPの利用も広がっている。その理由として、(1)「サーバーのパフォーマンスが向上し、膨大な量のメールに対応できるようになった」、(2)「複数の端末を持つユーザーが増えたことで、どの端末からでもメールを読みたいというニーズが高まった」、(3)「モバイルでも常時接続環境が整った」──ことなどが挙げられる。そのため、「企業のメールシステムでもIMAPの導入が増えている。プロバイダーがモバイルデバイス向けにIMAPのメールサービスを始める動きも目立ってきた」(センドメール テクニカル・マネージャの石山 元浩氏)という。

 IMAPはメールサーバー上の自分のメールボックスに様々な操作ができるように作られているため、POPよりもプロトコルが複雑だ。

 メールを受信する基本的な流れは、ログイン(認証)→フォルダー選択→リスト(メールの一覧)取得→メール取得→ログアウトだが、これらに加えてメールボックスやメールに対する多くの操作が規定されている。具体的には、「フォルダーの作成・変更・削除」、「メールにフラグを付ける」、「メールの削除・検索」──などだ。メールを受信するにしても、「本文の一部のみ」、「到着時刻のみ」、「フラグ情報のみ」──などを細かく指定できる。また同じ操作をするにしても、複数のコマンドが用意されている。つまりIMAPはやれることがたくさんあり、その実現方法が何パターンもあるのだ。

 このほかIMAPでは、同時に複数の端末からメールサーバー上の自身のメールボックスにアクセスする仕組みが用意されている。POPでは、同じメールボックスに複数の端末から同時にアクセスすることはできない。