企業がソーシャルメディアなどを使って消費者の要望や不満を探し出し、能動的に解決に動き出す手法のこと。先回りして消費者の期待に応え、顧客満足度を上げる。


 要望を直接伝える前に、相手が自分の気持ちを推し量って望み通りに対応してくれた。とてもうれしく感じて、相手への信頼が増した─。こんな関係を企業と消費者の間で築ければ、企業のブランディングにはプラスになるはず。これをツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアを活用して実現するのがアクティブサポートです。

 クレームや要望がお客様相談窓口などに寄せられる前に、ソーシャルメディアに書き込まれたつぶやきを検索システムなどを使って、企業の担当者が能動的に探し出します。そして役立つ情報をすぐに返したり、課題への対応を約束したりすることで、顧客満足度を高めていきます。

効果:評価を素早く把握

 個々の顧客のつぶやきに素早く対応することに加え、収集したつぶやきの傾向を分析してマーケティングに役立てることも可能です。

 例えば、新商品を売り出した直後に「使い方がよく分からない」といった不満がネット上で数多く発せられていると分かった場合。アクティブサポートの担当者はそれぞれの顧客にマニュアルの該当ページを伝えるだけでなく、動画を使った別のマニュアルをすぐさまアップすることで、より多くの顧客の不満を解消し、満足度を高められるわけです。

 アクティブサポートのもう1つのメリットとして注目されるのは、他の商品やサービスを売り込む「クロスセル」に活用できることでしょう。例えば、既存商品の利用者が不満をつぶやいた際に、「新商品への買い替えキャンペーンを実施しています」といった情報を提供して購入を促すといった具合です。クロスセルがうまくいけば、アクティブサポートを収益性のある事業に育てることも可能になります。

 ただし、あからさまな売り込みは消費者の反発を買い、「それがネット掲示板などに書き込まれると逆に企業イメージの低下につながる」と風評対策に詳しいエルテス(東京都港区)の菅原貴弘代表取締役社長は話します。

事例:主要企業が研究会

 米国ではマイクロソフトやサウスウエスト航空などがアクティブサポートを本格的に始めています。日本でも通販事業者や消費財メーカーなどが導入を開始しました。

 企業の枠を越え、アクティブサポートの活用法を検討する試みも見られます。テキストマイニングソフトを開発・販売するプラスアルファ・コンサルティング(東京都港区)が2012年1月に立ち上げたアクティブサポート研究会には、アスクルやニッセン、セブン-イレブン・ジャパンなど約20社が参加しています。様々な課題についてグループディスカッションしたりすることで、日本ならではのアクティブサポートの在り方を模索していきます。

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