EEEは、IEEE 802.3委員会で標準化された、イーサネット用の省電力技術。「トリプルイー」または「イーイーイー」と読む。Energy Efficient Ethernetの略で、省電力イーサネットとも呼ばれる。2007年1月頃に同委員会で仕様策定の議論が始まり、2010年秋頃にIEEE 802.3azとして標準化が完了した。

 省電力の仕組みは、ネットワークのトラフィックが少ないときにイーサネット機器の消費電力を減らすというもの。データが流れなくなるとデータリンク層の機能の一部を停止する、LPI(Low Power Idle)という手法を採用している。

 IEEE 802.3azは、100Mビット/秒から10Gビット/秒までのイーサネットを対象としている。これらの物理層にはメタルケーブルと光ファイバーケーブルの2タイプがあるが、IEEE 802.3azが対象とするのはメタルケーブルだけだ。メタルケーブルは光ファイバーよりも消費電力が大きく、EEEによる省電力効果が大きい。

 EEEは、主に企業内のクライアントパソコンのNIC(Network Interface Card)に搭載する技術として考えられたという。「ネットワークに常時つながっている従業員のパソコンでも、通信をしていない時間は多い。データをやり取りしていない時間に機能を停止すれば、消費電力を減らせると考えられたからだ」と日立製作所 中央研究所 プラットフォームシステム研究部 研究員の山田 雅毅氏は説明する。

 クライアントパソコンでEEEを搭載した製品は、2011年以降増えつつある。また、小型のLANスイッチや家庭向けブロードバンドルーターなどでも、EEEを搭載したものが製品化されてきている。

 データセンター内などで使われる高速な40G/100Gイーサネットが、昨今注目を浴びている。しかしEEEは前述のように、100M~10Gビット/秒が対象であり、40G/100Gは対象外である。

 そこで100GイーサネットでもEEEのような省電力技術を標準化しようという議論が、IEEE P802.3bjのタスクフォースで2011年後半に始まった。まだ議論の最中なので最終的な仕様がどうなるかは未定だが、「例えば4レーン×25Gビット/秒を採用する100Gビット/秒の場合、4本のうちのいくつかのレーンを停止することで消費電力を下げる仕組みが検討されている」(山田氏)という。対象となる伝送媒体は、データセンター向けルーター/スイッチのバックプレーンとメタルケーブルである。