文・堀越 直美(NTTデータ経営研究所 コンサルタント)

 2011年3月11日の東日本大震災の直後、携帯電話や携帯メールが輻輳(ふくそう)により不通となる中、情報の発信・入手の代替手段として、「ツイッター(Twitter)」をはじめとしたインターネット上のソーシャルメディアサービスが活躍しました。

 災害発生直後の安否確認にはTwitterやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「フェイスブック(Facebook)」が、連絡手段としてはインターネット電話の「スカイプ(Skype)」が役立ちました。災害発生後にはTwitterのほか、動画配信の「ユーストリーム(Ustream)」などが緊急災害ニュースの配信や個人の情報発信、あるいは緊急災害用の情報収集に役立ったことにより、ソーシャルメディアサービスの活用にこれまで以上に注目が集まっています。

 中でもTwitterは、リアルタイム性や情報拡散性に優れており、緊急災害時にそれらの機能が利便性を発揮しました。このため、行政機関の新規アカウント登録数は、震災直後に平時の5倍ほどにも増加しました。

 また、Twitterは「○○なう」で知られるように、いつでもどこでも情報を発信できるスマートフォンなどのモバイル利用も多く、出先での情報収集や情報発信の手段として優れていることも特徴の一つです。モバイル端末は無線通信機能を備えた充電式のものが多いため、テレビや電話が使えない停電時や、電話網や携帯電話網の不通時における情報通信の代替手段にもなりえます。

140文字までのテキストをネット上に公開

 Twitterのサービスは、米グーグルのブログサービス「Blogger」の開発チームにいたエヴァン・ウィリアムズ(Evan Williams)氏やビズ・ストーン(Biz Stone)氏のグループによって開発され、2006年から提供が開始されました。「ツイート(tweet)」と呼ぶ140文字のテキストメッセージをインターネット上に公開するというシンプルなサービスです。

 PCでもモバイル端末でも利用できるうえ、ブロードバンドでなくても通常のネット環境さえあれば使用できるため、世界各国で一般消費者への普及が急速に進みました。近年では消費者データの宝庫として、マーケティングなどのビジネスに活用する取り組みも盛んになっています。