米Google社が開発した「Chrome OS」を搭載したノートPCの総称。同社のWebブラウザ「Chrome」によるWebアプリケーション利用に特化している。機能を限定したハード/ソフト一体の専用設計により、約8秒の高速起動やセキュリティ侵害からの自動復旧といった機能を実現した。

韓国Samsung Electronics社の「Chromebook Series 5」
韓国Samsung Electronics社の「Chromebook Series 5」
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 Chromebookは、Chrome OSとその自動更新機能をGoogle社が、Chrome OSを起動するファームウエアとハードウエアをPCメーカーが、それぞれ用意する。ファームウエアはChrome OSを格納したストレージ領域の改ざん検知および自動復旧の機能を持ち、PCメーカーから出荷後はウイルスを含め一切の追加プログラムをインストールできない構造になっている。Chromebook内臓のストレージはOSの格納とキャッシュの用途が主だ。外部ストレージのUSBメモリーの読み出し先は、Google社のオンラインアルバムサービスの「Picasaウェブアルバム」などのWebサービスが基本となる。

 Webアプリケーションの利用に特化しているため、これまでのパソコンとは一部使い勝手が異なる。例えば印刷は、GoogleのWebサービスを通じて印字データをレンダリングする「Googleクラウドプリント」を使う。既に最大手の米Hewlett-Packard社が、自社の「ePrint」機能をGoogleクラウドプリントに対応させた。それ以外のプリンタでは、今のところWindows PCに接続した状態でなければ利用できない。またネットワークに接続していない環境では、Webアプリケーションが動作しなくなる。Google社は今夏に、オフライン版のGmail、Google Calender、Google Docsの提供を始める予定だ。

 ハードウエア面では、省電力CPU、2Gバイト程度のメモリー、耐衝撃性が高いSSD(Solid State Drive)ストレージなどが特徴。最初のモデルとなる韓国Samsung Electronics社と台湾Acer社のChromebookの仕様は、米Intel社の省電力CPU「Atom N570」を搭載 し、2Gバイトのメモリー、16GバイトのSSDを備える。価格はAcer製が349ドルから、Samsung製が429ドルからと、仕様・価格の両面で従来のネット ブックと似た製品といえる。

 企業利用向けに、Chromebookと保守サービスを一体提供する月額課金の契約形態「Chromebooks for Business and Education」も用意する。Chromebookと集中管理機能、メールと電話による24時間365日のサポートなどをセット提供する。1ユーザー当 たり、教育機関は月額20ドルから、一般企業は同月額28ドルからで利用できる。