同じネットワークに接続した別のマシンのホスト名を指定するだけで該当するマシンを見つけ出し、アクセスできるようにするネットワーク技術。DNSサーバーやhostsファイルといったIPアドレスとホスト名をひも付ける仕組みがない環境でも、マシン同士の通信が可能になる。ネットワーク上で利用可能な機器やサービスを検出するのに使われる。

 Zeroconfは、DNSのパケットをIPマルチキャストを使って送信する「マルチキャストDNS」や「DNS-SD」といったプロトコルを活用したものである。もともとはMac OS Xの「Bonjour」と呼ぶ機能として開発された。IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化されている。

 「ホスト名.local」と指定するだけで、該当するホスト名の端末を検出できる。例えばホスト名「hoge」という端末にpingを実行するには、次のように指定する。

$ ping hoge.local

 DNSサーバーを設置したり、hostsファイルを設定したりする必要がないことが特徴である。家庭内やSOHOのように専任のネットワーク管理者を設置できないようなケースに向く。

 最近のLinuxでは、Zeroconfのフリーの実装である「avahi」のパッケージが標準で用意されている。Ubuntu 10.04 LTSでは、OSのインストール時に自動でセットアップされる。Fedora 14では、デフォルトでavahi本体がインストールされるが、名前解決用のモジュールやユーティリティ・ツールがインストールされない。「nss-mdns」と「avahi-tools」を別途インストールする必要がある。