trace-cmdは、Linuxカーネルに内蔵されたトレーサ(カーネル内の各種処理を追跡するツール)である「ftrace」を簡単に操作するためのコマンドツールだ。

 ftraceには、アプリケーションやカーネルの実行経路(ライブラリや関数を呼ぶ経路)の途上で、各種処理を追跡し記録する機能がある。ftraceを使って記録した情報を分析すれば、割り込み処理の遅延時間を調べたり、カーネルの動作が重い原因を探ったりする際に役立つ。

 ただしftraceの操作は非常に煩雑なので、フロントエンドツールとしてtrace-cmdが広く使われている。trace-cmdのサブコマンドを使ってftraceを操作することにより、カーネルの動作の流れを視覚的に把握しやすくなる。

 またtrace-cmdには「kernelshark」というGUIのフロントエンドツールがある。よりグラフィカルにトレースデータを表示するので、trace-cmdの「report」コマンドを使って端末上に表示するよりも内容を確認しやすい。