ARMアーキテクチャ採用のCPUコアで動作するLinuxの最適化を実施している非営利組織です。

 CPUコアと周辺回路を実装した電子部品を「SoC」(System on Chip)と呼びますが、ARMアーキテクチャ採用のCPUコアを搭載したSoCは、様々なメーカーから出荷されています。その上で動作するLinuxは、メーカーごとに独自にドライバを組み込んだり、カスタマイズしたりして提供しています。開発環境もメーカーが独自に選んだものです。このような状況では、ARMアーキテクチャに最適化されたLinuxを提供することは難しく、開発効率も悪くなります。

 そこで、英ARM社、米Freescale Semiconductor社、米IBM社、韓国Samsung Electronics社、スイスST-Ericsson社、米Texas Instruments社が2010年6月2日、Linaroを設立しました。ARMアーキテクチャのSoC向けにLinuxの最適化を開始。その成果物は6カ月間隔で提供されます。

 2010年11月に最初のバージョンである「10.11」が公開されました。「http://www.linaro.org/downloads/」から入手できるコンパイラー、デバッガー、カーネル、ブートローダーです。

 Linaroの成果物は、Linuxディストリビューションと競合するものではありません。Linaroの開発ターゲットは、Linuxの下位レイヤー(ドライバや電源管理機構など)と開発環境であり、それらをARM用のLinuxディストリビューションに提供することが目的です。

 Androidをベースとした組み込みシステムの開発を促進する団体「Open Embedded Software Foundation」のAndroidにLinaroのカーネルを採用する、2010年末に「Linaro倶楽部」(仮称)として日本でのコミュニティ活動を開始するなど、国内でも注目されてきています。