ソーシャルグラフは一般に、人やもの同士のつながりのこと。身近な例では、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のアカウント同士の結び付きが挙げられる。mixiの「マイミクシィ」やFacebookの「友達」といった関係がソーシャルグラフの代表例といえる。

 ソーシャルグラフは比較的新しい概念なので、定義が決まっていない。上に挙げたような広義のソーシャルグラフには、「ニコニコ動画」での動画を中心にしたコメントのやりとり、ニコニコ市場での商品の紹介などが含まれる。「モバゲータウン」のように、ユーザー同士が協力するソーシャルゲームにも広義のソーシャルグラフがある。

 一方、ソーシャルグラフを「“互いに知っている人同士”のつながりを表すもの」(ミクシィ)と、より狭義の概念としてとらえることもある。この場合、ニコニコ動画のように趣味のコンテンツなどを中心に形成されるバーチャルな関係を「バーチャルグラフ」や「コミュニティグラフ」と呼んで区別する。実際には一つのWebサイトの中に、狭義のソーシャルグラフとバーチャルグラフ/コミュニティグラフが混在しているケースがある。

 自社のサービス上に形成されたソーシャルグラフを、他社に提供する企業もある。例えばKDDIは、携帯電話のオンラインアドレス帳バックアップサービス「au one アドレス帳」のデータからソーシャルグラフを抽出し、Rekoo Japanのソーシャルゲーム「サンシャイン王国」上で活用できるようにしている。au oneアドレス帳に登録しているユーザー同士なら、サンシャイン王国上で「友人がいます」という知らせが出てくる仕組みだ。サンシャイン王国に登録されているメールアドレスとau oneアドレス帳のメールアドレスを照合して、友人を探し出す。ミクシィもmixi内の情報を取得して外部のWebサイト上で利用できる「mixi Graph API」などを提供している。こうした事業者をソーシャルグラフプロバイダーと呼ぶ。