図 RFCができるまでの流れ
図 RFCができるまでの流れ
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 RFCは、IETF(Internet Engineering Task Force)が発行するインターネットの国際標準。直訳すると「意見を求める(コメントお待ちしています)」という変わった名称になっている。

 IETFには「Rough Consensus and Running Code」という考えがある。まずはメーリングリストやミーティングで、標準について「Rough Consensus(緩やかな合意)」を得る。次に「Running Code(実際に動くコード)」を作り、実装を仕様に反映する。このようにIETFには、「多数決」の概念がない。RFCは、この考え方に沿って作成される。RFCの内容は通信プロトコルだけではない。IPアドレスなどの体系、インターネット資源の管理方法や運用ルール、組織の運営方法など多岐にわたる。

 IETFには企業の技術者だけでなく、個人でも参加可能だ。全体をまとめるIESG(Internet Engineering Steering Group)というグループがあり、その下にエリアと呼ばれる八つの分野別グループがある。各エリアには細かいテーマごとに数十のワーキンググループ(以下、WG)が存在する。

 RFCとして標準化したい内容は、まず「Internet Draft」という文書にまとめる。この文書は、個人でもWGでも提案できる。RFCができるまでの流れは図のようになっている。以下ではWGを通じてRFCができるまでを見てみよう。Internet Draftは最長で6カ月間、IETFのFTPサーバーやWebサーバーに置かれる。その間、WGで内容について協議を重ね、Internet Draftを修正したり、新たに置き換えたりする。

 こうした作業を何度か繰り返し、議論が十分になされたらエリアの責任者(エリアディレクター)を通じて、IESGにRFC化を申請する。IESGはInternet Draftをチェックし、メーリングリストなどで意見を募ってフィードバックする。最終的にIESGの承認を受けたInternet DraftにはRFC番号が振られ、「Standards Track(標準化過程)」の「Proposed Standard」になる。一般的には、この段階で標準になったと見なされる。

 その後は最短6カ月で、WGの議長などが「Draft Standard」への移行を提案できる。この時、複数の企業あるいは組織で実装と相互接続性を確認している必要がある。広範囲なテストを実施し、極めて重要と認められたRFCは「Standard」に移行する。実際にStandardになるRFCは、そう多くない。フィードバックの結果によってはそのまま廃止されたり、新しい文書に置き換えられたりすることもある。