Linux技術者の技術力やスキルを判定する試験である。カナダに本部を置くNPO(特定非営利活動法人)「LPI」(Linux Professional Institute)が運営し、ベンダーやディストリビューションに依存しない中立な立場で認定する。世界共通の認定基準を設けて150カ国以上で実施している。2010年6月末時点の累積受験者数は26万人以上、認定取得者数は8万7000人以上と、Linux技術者向けの認定試験としては世界最大規模である。

 試験問題はLPICが運営しているコミュニティに参加するボランティアが作成している。認定の体系は、難易度に応じて「LPICレベル1」(LPIC-1)、「LPICレベル2」(LPIC-2)、「LPICレベル3」(LPIC-3)の3つに分かれる。上位のレベルの認定を受けるには、下位のレベルに合格していることが前提条件となる。例えばLPIC-1の認定を受けていない受験者がLPIC-2を受験して合格したとしても、LPIC-2の認定が受けられない。

 LPIC-1は、基本的なLinuxの操作とシステム管理のスキル、ディストリビューションを判定する。試験科目は「101試験」(LPI Level1 Exam 101)と「102試験」(LPI Level1 Exam 102)の2科目に分かれる。LPIC-1の認定を受けるには、2科目とも合格する必要がある。受験の順番は問わないが、一方に合格してから5年以内にもう一方の科目に合格することが認定条件となる。

 LPIC-2は、Linuxのシステム/ネットワークを開発したり、構築したりするためのスキルを判定する。LPIC-1に比べて応用的なシステム管理やサーバー構築の知識が必要になる。試験科目は「201試験」(LPI Level2 Exam 201)と「202試験」(LPI Level2 Exam 202)の2科目に分かれている。LPIC-1と同様に認定を受けるには2科目いずれにも合格しなければならない。

 LPIC-3は、最も専門性の高いスキルを判定する。試験科目は「301試験」(301 Core Exam)、「302試験」(LPI 302 Mixed Environment Exam)、「303試験」(LPI 303 Security Exam)の3科目がある。301試験はLPIC-3のベースとなる科目で「Core」と呼ぶ。301試験に合格すると、LPIC-3の認定を受けられる。302試験と303試験は専門分野を特定した科目で、301試験に合格してLPIC-3の認定を受けていることが受験の前提条件となる。302試験は、LinuxとWindowsの混在環境をシステム開発/構築/運用するスキルを認定する。303試験は、認証とセキュリティに関連したスキルを認定している。

 試験は、コンピュータを使った「CBT方式」(Computer Based Testing)で実施している。合格ラインの得点を設けていて、試験終了と同時に合否を判定する仕組みになっている。国内では試験代行会社のプロメトリックとピアソンVUEが実施している。企業や教育機関などで10人以上の受験者数を集めた場合には団体受験を申し込める。団体受験の場合には「PBT方式」(Paper Based Testing)で実施する。

 LPIの日本事務所は「LPI Japan」で、東京都千代田区に設置している。LPIの活動に賛同した富士通や日立製作所、NEC、ターボリナックス、日本SGIなどがスポンサーとなって活動資金を提供している。2010年6月末時点で、国内の累積受験者数は14万5000人以上、認定資格取得者数はLPIC-1が3万7000人以上、LPIC-2が1万人以上、LPIC-3が2400人以上だという。

 LPI-Japanは、Linux教育の活性化を目的としたプログラム「LPI-Japanアカデミック認定制度」を設けている。LPI-Japan独自のプログラムで、一定の学習環境を整備した企業や教育機関を対象にしている。日立システムアンドサービス、東北電子専門学校、青山学院大学などが認定を受けている。