図 Flash PlayerとFlashアプリケーション
図 Flash PlayerとFlashアプリケーション
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 Flashは、米アドビシステムズが開発したWebコンテンツやWebアプリケーションを作成・再生する技術。1996年の登場当初はアニメーション再生手段として知られたが、ここ数年はYouTubeやニコニコ動画といった動画共有サービスでよく使われている。用途はそれらに限らず、ゲームや教育、ビジネスなど様々な分野で利用されている。最近は、3D描画が必要なアプリケーションで使われるケースも目立つという。

 パソコンにWebブラウザーのプラグインである「Flash Player」をインストールすれば、Flashのアプリケーションを利用できる。この上で「動画プレーヤー」や「ゲーム」などのFlashアプリケーションが動作する(図)。Flash PlayerはWindowsやMac OS X、Linuxなどで動作。Internet ExplorerやFirefox、Opera、Safariといった主要ブラウザーをサポートする。

 Flashはパソコンだけのものではない。多くの携帯電話にもFlash Playerの軽量版である「Flash Lite」がプリインストールされている。「モバゲータウン」や「GREE」など有名な携帯サイトで使われている。

 いま最も動きがあるのは、スマートフォンだ。既にWindows MobileやAndroidを搭載するスマートフォンで稼働するFlash Liteが配布されている。さらに、米グーグルが2010年5月に発表したAndroidの最新バージョン2.2では、パソコンと同じFlash Player 10が動くようになる。バージョン2.2が搭載されるAndroid端末は、Webサイトの使い勝手が今よりさらにパソコンに近付くと予想される。

 一方、iPadおよびiPhoneでは、開発元の米アップルがFlashをサポートしない方針であることを明らかにしている。アドビはFlashアプリケーションをiPhone/iPadアプリケーションに変換するツールを準備していたが、アップルはこれを使って作成したアプリケーションをiTunes Storeで配布できないルールにしているという。

 FlashはHTML5と比較されることもある。HTML5はサポートする動画コーデックが定義される見込みで、Flash Playerを使わずに表現力のある描画処理ができるからだ。もっともアドビは、FlashとHTML5は使い分けて併用するものとみている。HTML5は仕様策定中で、普及はこれからだ。両者の立ち位置がはっきりしてくるのはもう少し先だろう。