米グーグルが提供するメールやスケジューラーなどのアプリケーションをセットで提供するサービス。4通りのセットがあり、企業向けの「プレミア・エディション」は有料。

 米グーグルは、個人利用が多いウェブメールサービス「Gmail(Gメール)」にスケジューラーなどのアプリケーションを組み合わせたサービス「Google Apps(グーグル・アップス)」を2006年8月から提供し始めました。

 2009年2月現在、誰でも利用できる無料の「スタンダード・エディション」、教育機関向けで無料の「エデュケーション・エディション」、ネット事業者などが顧客に提供するための有料の「パートナー・エディション」、企業が社内で使う有料の「プレミア・エディション」の4種類があります。

 プレミア・エディションは2007年2月から世界各国で提供されています。国内では2008年後半から、東急ストアやユニ・チャームなど著名企業が導入し始めています。企業にとってはSaaS(サース=サービスとしてのソフトウエア)の1つとも言えます。

効果◆1アカウント年間6000円

 プレミア・エディションは、特定のグループ内またはグループ間で文書や表計算、プレゼンテーション資料を共有して同時に編集を加える機能や、会議の出欠確認などのグループスケジューリング機能、独自のメールドメインを設定する機能などを持っています。メール機能だけでも、保存容量が25ギガバイト(ギガは10億)と大きく、グーグルが99.9%の稼働率を保証する、という特長があります。24時間体制で電話などによるサポートも提供しています。

 プレミア・エディションの利用料は、1アカウント当たり年間6000円です。アカウントの増減も容易にできます。24時間365日こうしたシステムを自前で運用・保守するのはシステム部門にとって大きな負担です。この料金を割安だと感じる企業が徐々に増えているようです。

事例◆6800人が移行へ

 ユニ・チャームは2009年1月から社内メールシステムをグーグル・アップス・プレミア・エディションに移行しました。併せて約6800人いる国内外のグループ各社に所属する全社員のメールのドメインを「@unicharm.com」に一本化します。既に国内の約3000人が同サービスを利用しています。

 同社は従来、自社でメールシステムを運用していましたが、メールの利用が増え続けているうえに、急増した迷惑メールの除去処理によって、システムにかかる負荷が過大となり、性能不足や障害対応が大きな懸念材料となっていました。ユニ・チャームは今回、セキュリティーを強固にすべく、グーグル・アップスへのログイン機能は独自開発したものを使用しています。さらに、アドレス帳を部署別や会社別に表示できるように改良しています。

■参考文献
2009年3月号「特集1・ビジネスイノベーションを促進する戦略的IT組織の条件」