Ustreamは、映像を配信するためのWebサービス。URLはhttp://www.ustream.tv/である。米ユーストリームが開発した。YouTubeのような単なる動画配信ではなく、生中継の用途に強みを持つ。USB接続のカメラとパソコン、インターネットに接続できる環境があれば、誰もがどこからでも生中継できてしまう。

 生中継の発信元となる端末は、パソコンでなくてもいい。Ustreamを特徴付けているのが、専用アプリケーションをインストールしたiPhoneやAndroid端末といったスマートフォンからでも生中継ができる点だ。こうした端末から自分の日常を生中継することを、「ダダ漏れ」などと表現する人もいる。

 多くの人がUstreamを知るきっかけとなったのは、2009年1月に米国において、オバマ大統領の就任式典の生中継で利用されたことだ。それから爆発的に利用者が増え、2010年4月時点での1カ月間のサイト来訪者数は1億1000万人を超えたという。4月末にはWebサイトのメニューなどが日本語で表示されるようになり、使い勝手が向上。同時期に日本政府の「事業仕分け」の生中継にも使われた。今年1月時点の日本からのサイト来訪者の割合は全体の8.9%だったが、今はさらに増えていると思われる。

 Ustreamは機能強化を続けている。なかでもTwitterとの連携機能は注目度向上につながっている。ユーザーは生中継の画面の横に用意されたTwitterの投稿欄を使うことで、同じ生中継を見ているユーザーと情報を共有できる。これにより、TwitterユーザーがUstreamの視聴者を増やしていくという状況を作り出している。

 Twitterのサーバーは1カ所からのアクセスが増えると、負荷がかかり過ぎないように制限をかける仕組みになっている。UstreamのサイトにTwitterのコメントを表示する場合、UstreamのサーバーはTwitterのサーバーに負荷をかけないようにまとめてコメントを検索するようになっているようだ。またUstream自体も突発的なアクセス増に耐えられるよう、自社サーバーだけでなくCDN事業者も利用する。人気のWebサービスならではのキャパシティプランニングだ。

 5月18日、ユーストリームの日本法人として、USTREAM Asiaの設立が発表された。同社には、ソフトバンクがグループ会社であるTVバンクを通して60%出資。TVバンクの中川 具隆代表取締役社長がUSTREAM Asiaの社長に就任する。TVバンクはUstream用貸しスタジオなどの運営を担当する。現在、東京都港区の汐留と渋谷区でスタジオを開設。渋谷のスタジオは事前に予約すれば無料で借りられる。