電話や電子メール、インスタント・メッセージなどの様々な通信手段を統合して利用できる技術や仕組みのこと。状況に応じて最適な手段を使い分けられるようにする。

 「重要な会議中に自分の携帯電話の呼び出し音が鳴り、ばつの悪い思いをした」「数日前に送った電子メールへの返答が来ないため電話で問い合わせてみたら、相手が休暇中だった」。このような経験が、あなたにも1度はありませんか。

 携帯電話や電子メール、パソコン上で簡単なメッセージをやり取りできるインスタント・メッセージなど、企業内に様々な通信手段が浸透しました。相手が不在の際にはメールを送っておいたり、電話で話し合いながらグループウエア上のデータを共同で編集したりと、コミュニケーションの効率化が進みました。

 半面、どの通信手段を利用すればよいのかに迷う機会も増えました。冒頭の例のように、適切な手段を使わなかったばかりに相手に迷惑をかけたり、業務効率をかえって悪くするケースもあります。

 そこで最近注目を集めているのがユニファイド・コミュニケーション(以下、UC)です。「ユニファイド(統一された)」という言葉の通り、通信手段を1つのシステム上で統合して利用できるようにする技術や仕組みを指します。また、UCを実現するためのシステムはUCツールなどと呼ばれています。

効果◆相手の状況を事前に確認できる

 UCツールを使うと、オフィス内の連絡業務の効率化が見込めます。社員のパソコンに専用ソフトを導入して、複数の通信手段を状況に応じて使い分けたり、組み合わせて利用したりできます。

 最適な通信手段を選ぶには、通信したい相手の状態が分からなければなりません。そこでUCツールは「プレゼンス」と呼ばれる機能を備え、相手が在席中かどうかや、電話に出られるかどうかを事前に確認できるようになっています。電話をかけてみてから不在と分かり、あらためてメールを送るといった作業の無駄が省けるわけです。

 ただし現状では、UCツールの導入に二の足を踏む企業も少なくありません。電話は総務部門、電子メールはIT(情報技術)部門などと管轄する部門が異なることが多く、足並みをそろえるには組織体制の見直しが必要になるからです。

事例◆電話やメール対応の時間を削減

 キリンホールディングスは2006年、グループ各社約9000人を対象にUCツールを導入しました。プレゼンス機能で相手が席にいる時に電話をかけられるようにしました。同時に、同僚の電話を代わって取り次いで、伝言メモを作成する作業を原則的に禁止しました。作業時間の削減やメモ用紙代の節約により、同社は概算で数億円規模のコストを削減したとしています。