文・北澤 修一(NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティング本部 コンサルタント)

 電子政府ポータルとは、政府情報の検索や電子申請をする際の窓口となるサイトです。各省庁が担当する業務がそれぞれのホームページで情報公開された場合、利用者からするとどの情報をどの省庁が担当しているかわからないことがよくあります。そこで、各省庁が取り扱う情報の検索や電子申請を一本化して行えるように構築された窓口が電子政府ポータルです。

 中央政府だけでなく、各自治体も電子ポータルに力を入れて取り組んでいますが、今回は政府の電子ポータルを中心に取り上げます。

電子政府の仕組み

 まず、電子政府ポータルについて見る前に、電子政府そのものについて俯瞰(ふかん)してみましょう。電子政府の目的は、コンピュータやネットワークなどの情報通信技術(IT)を活用して、個人、法人、行政における効果的・効率的な仕組みを実現することにあります。

 個人や法人のメリットとしては、各行政機関の窓口に直接足を運ぶことなく、自宅やオフィスから各種申請・届出の手続きを行えることや、毎日24時間いつでも申請・届出が可能となることなどが挙げられます。  また行政側にも、人手による作業の削減や事務の簡素化・合理化などの多様なメリットがあります。

 電子政府は、適切に使えば多くの国民や法人、行政にとってメリットがあるものです。電子政府ポータルは電子政府の入り口に位置するものであるため、国民に手軽に電子政府を利用してもらうための重要な役割を担うものと言えます。

日本の電子政府ポータルの状況

 日本政府の電子政府ポータルとしては、「電子政府の総合窓口(e-Gov)」があります。同サイトは、(a)各府省がインターネットを通じて提供する行政情報の総合的な検索・案内サービスの提供、(b)各府省に対するオンライン申請・届出などの手続きの窓口サービスの提供を担っており、(1)情報を調べる、(2)サービスを利用する---の2つが主なサービスメニューです。

(1)情報を調べる
・全府省ホームページ検索:各省庁のホームページ内容をフリーワード検索できるサービス
・法令検索:各省庁の法令内容をフリーワード検索できるサービス

(2)サービスを利用する
・個人向け手続き案内:結婚、納税、社会保障など個人の生活に関する情報を検索・利用できるサービス
・企業・事業者向け手続き案内:税、福利厚生、貿易など法人の事業活動に関する情報を検索・利用できるサービス
・手続き検索:個人向け、企業・事業者向けの手続き内容をフリーワード検索できるサービス
・電子申請:電子申請ができる手続きの検索や電子申請ができるサービス

 日本政府は、電子政府の総合窓口(e-Gov)などにより、国民にとって便利で使いやすい電子政府の実現に向けて様々な施策に取り組んでいます。しかし実際に利用してみると、サービス利用までの準備が面倒・困難であることや、システムの使い勝手が悪いこと、さらにはサイト上で提供されている情報内容が少ないなど、課題も数多くあります。