「Google Public DNS」とは、米グーグルが運用する公開DNSサーバーのこと。2009年12月3日に発表され、同日から利用できるようになった。ユーザーは通常、契約プロバイダーのDNSサービスを利用する。企業が自社でDNSサーバーを立てていても、その上のレベルでプロバイダーのサービスを使う。Google Public DNSがこうした他のDNSと大きく異なるのは次の2点である。(1)複数のGoogle Public DNSサーバーが世界各地に設置されていること、(2)グーグルの検索インデックスを活用していること――だ。
Google Public DNSのIPアドレスは「8.8.8.8」および「8.8.4.4」である。自宅などからのインターネット接続の際、一般にはプロバイダーから指定されたIPアドレスを使うが、そのIPアドレスの代わりに8.8.8.8と8.8.4.4を指定すればよい(図)。IPアドレスは二つだが、複数ノードで一つの共有IPアドレスを使うIP Anycastを採用することで、サーバーを分散している。世界中にある8.8.8.8のサーバーのうち、アクセスしたユーザーに最も近いサーバーに接続する。
高速化の工夫としてはキャッシュのヒット率向上が挙げられる。そもそもDNSサーバーは問い合わせを受けたとき、まずはキャッシュを調べ、そこになければ別のDNSサーバーに問い合わせる。キャッシュのヒット率を高められれば、応答は確実に速くなる。グーグルの資料によれば、キャッシュのヒット率を上げるためにグーグルの検索インデックスを活用するほか、複数サーバー間でキャッシュを共有して欠落を防ぐ工夫や、DNS情報の先読み(プリフェッチ)をしているという。