近隣の市町村で起きた道路陥没などの情報をテレビやラジオで耳にしても瞬時に発生場所を地図上で確かめられません。このような時に役に立つのはインターネットの地図サイトです。近年、国や自治体は災害情報の発信に電子国土と呼ばれる地理情報のシステムを活用しています。まず2003年7月に国土地理院が「電子国土ポータルサイト」で地図を公開し、2006年6月からは専用のプラグインソフトウエアをダウンロードすれば、目的に応じて地理情報を加工したり追加情報を重ねて表示したりできる「電子国土Webシステム」の技術情報を一般に公開しました。

 地理データは国土地理院から無償提供されるのでシステム構築の費用は抑えられて、維持管理の手間も省けます。HTML(ハイパー・テキスト・マークアップ言語)と、ActiveX(マイクロソフトのソフトウエア技術)もしくはJavaScript(プログラミング言語の一種)の知識があれば、誰でも地図サイトを作ることができます。

 長崎県などは防災サイトで同システムを活用し、災害や避難場所の情報を提供しています。ただし民間からの認知度は低いです。2006年10月当時の国土交通省の調査では、電子国土の内容を知っていたインターネットユーザーは全体の1割程度でした。その後も目立った推進策は出ていません。