「鉄腕アトム」「鉄人28号」「機動戦士ガンダム」――。少年時代にロボットのヒーローに夢中なった男性読者は多いでしょう。デジタル技術を用いて案内や広告を表示するデジタルサイネージの進化形としてロボットが実用化されつつあることも自然な流れかもしれません。通行人の存在を感知して音声や身振りで案内をするもので、ロボット看板と呼ばれています。

 画像や音声を認識して、利用者ごとに適した情報を発信する技術の研究が進んでいます。視聴覚に障害を持つ人々への情報提供の手段としても期待されています。

 トヨタ自動車はトヨタ会館に施設内の展示物を案内するロボット「TPR-ROBINA」を2008年8月から導入しました。障害物を避けて移動したり、来場者の名札を認識して音声で案内したりと様々な機能が盛り込まれています。自律移動するので“看板”という感じはしませんが、ロボット看板の一例といえるでしょう。

 ほかには、国際電気通信基礎技術研究所(京都府)などが利用者の視線に反応するロボット看板を開発、同年1月、大阪府のホテルで実験しました。案内板の前に立つ利用者の視線の先を特殊なカメラで検出し、その部分に照明を当ててぬいぐるみに関連情報をしゃべらせます。2010年の実用化を目指しています。

参照:2008年8月号「3分間キーワード・デジタルサイネージ」