Linuxカーネル2.6.21から搭載された省電力機構。それ以前のカーネルは,どんなに暇なときにも必ず一定期間(具体的には1ミリ秒や10ミリ秒など)で起床してさまざまなカーネル内処理を実施する必要があった。Dynticksは,こうしたアイドル時の定期処理を省略する。

 CPUには通常,電力消費を基準に分類した「Cステート」と呼ぶ動作モードがある。パソコンの電力制御規格ACPIでは,C0(通常動作状態)~C3(クロック生成器の動作停止)といったCステートが規定されている。OSのアイドル状態が続くと,C2ステートからC3へと消費電力がより少ないCステートに移行する。

 しかしながら,このように消費電力の少ないCステートに移行するには,できるだけ長い間,アイドル状態を保つ必要がある。Dynticksは,カーネルの定期処理を省くことで,アイドル状態を持続させる。有効にするには,「CONFIG_NO_HZ」という設定を有効にしてカーネルをビルドすればよい。