文・櫻井 亮(NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティング本部 シニアコンサルタント)

 ミニブログ、またはマイクロブログと呼ばれるウェブサイトが注目を浴びています。ミニブログ/マイクロブログとは、何気ない気軽な日常の一言を「つぶやく」ように書き込むことに特化した簡易型ブログのことです。URLなどの有用情報を張り付けることでの情報共有や、発信者のつぶやきを共有する(これを、「フォローする」といいます)ことでのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)としての機能も有しています。携帯電話やインスタント・メッセンジャーから利用できるサービスもあり、利用者が急増しています。

ミニブログ/マイクロブログの特徴

●リアルタイムである

 リアルタイム性は、発信者をフォローする機能を有することで実現しているミニブログ/マイクロブログの大きな特徴の一つです。

 他のユーザーをフォローすると、そのユーザーが発信した情報(つぶやき)、収集した写真、ブログ記事、気になるURLなどが自分専用ページ(「ホーム」と呼ばれています)に表示されます。全世界で 何千万人ものユーザーに利用されているツールのため、様々な国や地域から誰かのつぶやきが時々刻々と投稿されてきます。そのため、どこかで発生した事件・事故や大きな出来事は、発生時点からそれらについてのつぶやきが一斉に投稿され、フォローされた人たちの連鎖によって伝言ゲームのような形であっという間に全世界へと広がっていきます。時には、通常のメディアが情報発信するよりも早い場合があります。

 2009年6月に発生したイラクの不正選挙問題や、7月の中国ウイグル自治区での暴動事件では、厳しい報道規制の中、ミニブログ/マイクロブログが貴重な情報源、発信源として活用されたといわれており、このリアルタイム性が活用している人たちの間で注目された大きなポイントでした。

●制限がある

 ミニブログ/マイクロブログのシンプルさ、簡単さは、ツールとしての制限にあると言えます。一つのメッセージの長さを制限し(例えば、Twitterでは140文字程度)、あえて短いメッセージしか許されない情報発信を行うこと、また、短いハンドル名、ソーシャルメッセージングに向いたユーザープロフィールに制限する事で、簡単、且つシンプルな情報発信、情報共有ツールになっているといえます。

●豊富なAPI

 現在、多くのミニブログ/マイクロブログでは、様々な周辺アプリケーションが開発されています。デスクトップPCやモバイルプラットフォームでの使用を可能にするような高品質なクライアントソフトなどが用意され、サービス互換性の高いAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)が存在していることも大きな特徴です。ほとんどのサービスが相互連携可能な他、SNSや通常のブログ、その他の多くのウェブサービスへの連携も可能となっています。

通常のブログ/SNSとの違い

 通常のブログやSNSとの違いは、相手や読み手をそれほど意識せずに軽いコミュニケーションを取ることができるという点があります。今まで通常のブログやSNS上の日記で情報発信してきた場合のように、「何か書かなければならない…」「この情報は相手に価値があるのだろうか?」という情報発信側の義務感や他のユーザーからの期待感がない状態でつぶやくことができます。そのような意味で既存にあるブログやSNS上の日記よりも、身近かつ個人的なツールであるといえます。

 また、フォロー機能はSNS上の連携( mixi のマイミクなど)と異なり、自分から相手への一方的な作業です。自分が相手をフォローしたとしても、相手が自分のことをフォローしない限り、自分の発言が相手に表示されることはありません。 フォローすると相手側に通知されるので、それを見て相手は自身の判断でフォローするかどうかを決めることができます。

 ミニブログ/マイクロブログではSNSなどのネットワークサービスと異なり、「知らない人でも気軽にどんどんフォローしよう」という慣例があり、SNSのように申請メッセージなどはありません。また、気軽にフォローすることをやめることができます。ユーザー同士に適度な距離感がある状態でのコミュニケーションが人気の高さの一つでもあり、既存にある緊密なサービスツールと違うところです。