建物の壁面や屋上に芝や草花などを植えるのが壁面緑化(屋上緑化)です。ヒートアイランド現象の抑制,樹木による大気の浄化,都市景観の向上など,地球環境,都市環境の向上に大きな効果があります。近年,「グリーンインフラ」を構築する動きの一つとして活発に行われるようになってきました。
建物緑化は,外部環境のみならず,建物を使う事業者や利用者にとってもさまざまなメリットがあります。特に,データセンター事業者にとっては,夏期に建物内に伝わる日射熱を低減して空調にかかるエネルギーを削減できる点が最も大きな効果です。また,環境への取り組みを積極的に行っているデータセンターというアピールにもなります。
緑化技術は日々進歩しており,建物への荷重負荷を低減する軽量の植栽基盤や緑葉の期間が長い芝,地被など,次々と新たなシステムが開発されています。管理面でも,省管理型の植物や自動灌水設備の導入によって維持管理作業の軽減とランニング・コストの低減が図られています。
データセンターの場合,屋上は空調用室外機や非常用発電機など設備機器の設置場所として利用され緑化できるスペースが少なくなりがちなため,まとまった緑を確保するには壁面を利用することで可能になります。
国や自治体も積極的に緑化を推進しており,一定規模を超える建物については緑化を義務付けるとともに,緑化による容積率の割増や減税措置の制度を設ける自治体もあり,その数も増加傾向にあります。
室長 諏訪 浩一