ビルなどの建築物で各階を縦につなぐ配管設備が納められているスペースのことをPS(パイプ・スペースまたはパイプ・シャフト)と呼びます。このうち,電気や通信といった電気設備の配線を通すスペースを特にEPS(Electric Pipe Space / Shaft)と呼びます。

 一般的なデータセンターは,電気室内に設置されたUPSなどの電源設備から,EPS内に設置された幹線を使って,各階サーバー室の分電盤(PDU)へと電力を供給します。

 一方,情報ネットワーク系の配線は,敷地内に引き込まれた各社の通信回線を収容した主配電盤(MDF)から,EPS内の通信用配線を使って各階につながっています。電話系の配線も同様です。

 したがって電力供給用の強電系配線と通信用の弱電系配線は,EPS内において双方をしっかり分離して配線する必要があります。ノイズなどの障害を防止するためです。

 また,サーバーを増設するなど,将来,電力供給が増える状況に備えて,EPSにも十分な拡張スペース,さらには保守スペースを確保しておく必要があります。

大成建設 IT施設計画室
課長 瀧上 嘉詞郎

IT施設計画室は,データセンターの企画・設計を手掛けるデータセンターの専任部署。データセンターに適した土地かどうかの調査や,データセンターの設計・施工に豊富な実績を持つ。同社のIT部門に所属していた担当者が多く,現場のシステム運用を理解していることも強み。データセンター・プロジェクトチームは,IT施設計画室を核として,各部門の専門家が集まった組織。瀧上氏はプロジェクトチームの一員。