非常用発電装置は,停電が発生した場合のバックアップとして,継続的に電力を提供し続ける設備です。データセンターでは,一瞬たりとも電力が途絶えることが許されないので,重要な設備の一つです。
データセンターでは,3000kVAを超える大出力の発電機が導入されるケースが多く,設置する台数も点検や故障を考慮して,必要台数に予備機を加えたN+1構成とするのが一般的です。平面寸法がおよそ幅3m,奥行き10mと大きい上,発電機同士の離隔距離を確保しなければならず,建築計画上,発電機の設置スペースがネックとなることがあります。
発電機の駆動エンジンには,ディーゼルとガスタービンがあります。
ディーゼルは,発電効率が良く,起動時間が短いことが長所です。ガスタービンは,小型・軽量,低騒音・低振動,冷却水不要といった特徴があります。新しいデータセンターでは,ガスタービンが採用される傾向にあります。
発電機の燃料はA重油や軽油で,データセンターの敷地内の地下オイルタンクに蓄えます。無給油による連続運転時間は,このオイルタンクの大きさによって決まります。米国のデータセンター規格TIA-942では,TIER 3で72時間,TIER 4で96時間と規定されていますが,電力の信頼性の高い日本においては過剰という評価もあります。
室長 諏訪 浩一