図●LCATによるデータ配置の最適化
図●LCATによるデータ配置の最適化
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 Linuxディストリビューション「KNOPPIX」の起動時間を短縮するために開発されたツールで,「Live CD Acceleration Toolkit」の略称です。

 KNOPPIXは,CDまたはDVDから直接PCを起動して利用できる「ライブ版Linux」です。OSをハード・ディスクにインストールすることなく利用できるのがライブ版Linuxの特徴ですが,OSの起動に時間がかかる課題を抱えていました。Linuxは起動時に多くのファイルを読み込みますが,光学メディアの読み込み速度がハード・ディスクと比べ低速なため起動に時間がかかるのです。

 この欠点を改善するため,情報処理推進機構(IPA)の「オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業」の一環としてアルファシステムズが開発したのがLCATです。

 光学メディアの読み込みに時間がかかるのは,必要なデータがメディア上に乱雑に配置されていて,シーク(CD/DVDドライブのレンズが次の読み込み位置に移動する)処理が多発するためでした()。LCATを使い,読み込み対象のデータを連続的に配置するよう最適化することで,OSの起動速度が劇的に向上しました。

 なお,LCATにより起動速度が向上したのは産業技術総合研究所がリリースしている「KNOPPIX 日本語版」です。本家サイトが公開している「KNOPPIX」はLCATが適用されていません。

 試しに,最新版の「KNOPPIX 6」を使ってOSの起動時間(BIOSの起動画面が表示されてから統合デスクトップ環境が操作可能になるまで)を比較したところ,本家版の「75秒」に対し日本語版は「33秒」と,半分以下の時間で起動しました(ベンチマーク・テストは,CPUがPentium D-2.80GHz,メイン・メモリーが512Mバイト,32倍速のCD-ROMドライブを装着したPCで行いました)。

■変更履歴
LCATを開発したのはアルファシステムとしていましたが,アルファシステムズです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/10 16:10]