DTCP(dynamic tunnel configuration protocol)とは,IPv4を利用している現状のインターネットを通して,次世代のIPv6インターネットに手軽に接続するための手段の一つとして使われているプロトコルです。TCP/IP基本ソフトの販売などで有名だったオーストラリアのTrumpet Software International社(現Tattam Software Enterprises社)が開発しました。国内では,フリービットが提供する無償のIPv6接続サービス「Feel6」(http://start.feel6.jp/)がこのDTCPによるトンネル接続に対応しています。

 DTCPは,クライアント側がサーバー側に対してまずTCP(over IPv4)で接続要求を出し,サーバー側はチャレンジ・レスポンス方式でクライアントを認証した後,その接続元のIPv4アドレスをトンネルの出口として設定するというトンネル確立方法を採用しています。このため,一般的なブロードバンド回線のように,ユーザー側が固定IPアドレスを持っていない状況下でもトンネルを確立できるという優れた特徴があります。

 Linuxの場合,Linux向けのIPv6技術開発プロジェクトである「USAGI」(UniverSAl
playGround for Ipv6) プロジェクト(http://www.linux-ipv6.org/)の成果物の一つとしてDTCPクライアントのソースコードが配布されており,これをコンパイルして使うことでIPv6インターネットにトンネル接続できるようになります。ただし,トンネル接続用のLinuxマシンがNAT環境にある場合,DTCPで使う「IPv6 over IPv4パケット」をやりとり可能にするため,「IPのプロトコル番号41番」のIPv4パケットをLinuxマシンに中継させるようブロードバンド・ルーターなどを設定する必要があります。

 ちなみに,非常によく似た名前のプロトコルとして「DTCP-IP」(digital transmission content protection over internet protocol)がありますが,こちらは家庭内LANなどのIPネットワーク上で,著作権保護技術によって保護されたコンテンツを伝送するためのプロトコルであり,全く関係ないプロトコル同士なので注意しましょう。