図1 スマートフォンはアプリケーションを自由に作成して使える(イラスト:なかがわ みさこ)
図1 スマートフォンはアプリケーションを自由に作成して使える(イラスト:なかがわ みさこ)
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図2 普通の携帯電話機との違いを理解して使う必要がある(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 普通の携帯電話機との違いを理解して使う必要がある(イラスト:なかがわ みさこ)
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 携帯電話機の新機種に関するニュースで「スマートフォン」という言葉を目にすることが多くなってきた。iPhone 3Gの登場以来,スマートフォンが日本でも携帯電話機の一つのジャンルとして定着してきた。

 スマートフォンとはどのような携帯電話機なのだろうか。実は,スマートフォンにはコンセンサスがとれた一つの定義はない。例えば広い意味では,「高機能な携帯電話機」といった意味合いで使われる。日本の携帯電話機は高機能端末がほとんどなので,海外からは,日本の携帯電話機はほぼすべてがスマートフォンだと言われることもあるようだ。

 しかし「最近はスマートフォンの製品が増えてきた」と言う場合には,より限定的な意味合いで使うことが多い。この狭義の意味でのスマートフォンは,「OS上で直接動かせるアプリケーションを,第三者が開発して自由に搭載できる携帯電話機」と定義される。自由にアプリケーションを開発して使えるようなオープンなプラットフォームを採用している携帯電話機をスマートフォンと呼ぶのである(図1)。

 この視点で捉えると,実際に国内でスマートフォンと呼ばれる端末とイメージが合う。国内でスマートフォンと呼ばれているのは,米アップルのiPhoneや米マイクロソフトのWindows Mobileを搭載したもの,またはカナダ製のBlackBerryなどが中心であり,どれも第三者がOSに対応したアプリケーションを開発して端末に搭載できる。今後登場してくる米グーグルのAndroidも同様である。

 さらに,ボディ形状やユーザー・インタフェースも,スマートフォンと呼ばれるための条件といえる。上記機種の多くは,iPhone以降の潮流であるタッチ・スクリーンのユーザー・インタフェースや,フル・キーボードを備えている。

 スマートフォンなら,これまでの日本の携帯電話機とは異なる使い方が可能になる。携帯電話機の内部に保存したデータやGPSなど各種機能から得られる情報を活用するアプリケーションを作って利用できるとなれば,その使い方はパソコンに近いものになる。新しいユーザー・インタフェースと組み合わせて,使い勝手のいい業務アプリケーションを作ったり,楽しめるホビー向けアプリケーションを作ることも可能だ。

 その一方で,アプリケーションがOSを自由に操作できるということは,悪意を持ったアプリケーションも作れることを意味する。つまり,セキュリティ面でのリスクが高くなってしまう(図2)。

 また,日本の携帯電話機なら普通の各種のサービスが使えないケースが多いということにも注意が必要だ。例えば,iモードに代表される携帯電話向けのWebページやメール・サービスに対応していない,おサイフケータイやワンセグが使えない,絵文字入りのメールが使えない──などである。