代エネ法(石油代替エネルギー促進法:Law Concerning Promotion of the Development and Introduction of Alternative Energy)は,1970年代の第1次・第2次オイルショックを契機に,石油依存度を下げることを目的として1980年に制定された。経済産業省は2008年10月,代エネ法を30年ぶりに抜本的に改正する方針を明らかにした。
代エネ法では,エネルギーの安定供給の観点から,石油を代替するエネルギーの開発および導入を促進する法的な枠組みを規定している。2002年の改正では,原子力,石炭,天然ガス,水力,地熱,太陽光,風力などの石油代替エネルギーについて,2010年までの供給目標と達成に向けての事業内容が定められた。
1980年の制定以降のほぼ30年間に,石油火力発電所の発電量は半分に減り,産業界では燃料転換が起こった。しかし,温暖化対策を考えれば,石油だけでなく,石炭や天然ガスなどの化石燃料全体の使用を減らす必要がある。加えて,燃料価格の高騰や,ロシアや中国を中心に台頭しつつある資源ナショナリズムに対応する狙いから,今回,代エネ法の抜本改正に踏み切ることになった。
改正の方向性としては,電力,ガス,石油の3業界に,非化石燃料の長期にわたる導入目標と利用の高度化を義務づける考えだ。この結果,2030年には国内のエネルギー供給のうち,非化石燃料の割合を現状の2割弱から3割程度へと高めたいとする。
非化石燃料の導入義務という面では,電力会社に対して毎年その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー発電による電力利用を義務付けたRPS法(新エネルギー等電気利用法)もある。しかし,改正・代エネ法では,RPS法のような単年度の導入目標ではなく,2030年や2050年といった長期目標を導入する。
産業界の反応としては,石油業界とガス業界はおおむね好意的に受け止めているようだ。特に電力業界との競争が激化しているガス業界は,燃料電池などの新規事業に政策的な後押しがあるとの期待から,改正に積極的な動きを見せている。一方,電力業界の立場はやや複雑。改正・代エネ法によって,経産省としては原子力発電所の立地を支援し,稼働率を引き上げたい狙いがあるのに対し,電力会社は火力発電所の立地を前倒しにする方向で,両者の思惑がそろっていない面があるからだ。
各方面の思惑が交錯する中,改正代エネ法は,総合資源エネルギー調査会が年内に報告書を取りまとめ,2009年1月の通常国会でのスピード改正を目指す。