OpenIDとは、一つのIDで複数のWebサイトを利用できるようにする技術規格。もしくはそのID自体をOpenIDと呼ぶ。米国では既に1万以上のWebサイトがOpenIDに対応している。日本でもシックス・アパートと日本ベリサイン、野村総合研究所の3社が2008年2月に「OpenIDファウンデーション・ジャパン(仮称)」の設立を目指すと発表。3社のほかヤフーやミクシィなど8社が参加を表明した。

 対応するWebサイトでユーザーがOpenIDを使う場合、OpenIDの認証を発行元のWebサイトが行うことで、対応サイトへのログインが可能になる。OpenIDの利用により、ユーザーは複数のIDやパスワードを管理する手間を減らすことができる。野村総合研究所が15歳以上のインターネットユーザー1000人を対象に2007年9月に実施した調査によると、「インターネットを利用した時に何度かパスワードを忘れて困ったことがある」と49.7%の回答者が答えた一方、「困ったことは一度もない」は7.6%にとどまった。こうしたトラブルの低減が期待できる。

 Webサイト運営企業の視点から対応の利点を見ると、OpenIDの利用者を新規ユーザーとして獲得しやすくなるほか、ユーザー管理に費やす労力も軽減できる。さらに、今後OpenIDが一層セキュリティに優れた仕様に発展すれば、OpenIDによるクレジットカード番号などのやり取りが一般化する可能性もある。そうなれば、例えば対応ECサイトでは、ユーザーの入力作業を簡素化して売り上げを増やす効果を見込めるようになる。

 ただし、実際の普及はこれから。日本でもOpenIDに対応するWebサービスは既に登場し始めているが、OpenIDでのログインを一部のサービスに限っていたり、OpenIDの発行・認証業務は手掛けていても自社サイトへのログインは認めないなど、利用範囲を限定するWebサイトが多い。ユーザーの利用が進むには、まずはOpenIDを気軽に使えるWebサイトが増えることが不可欠だ。