Webサイトにアクセスしたユーザーが情報を探す時に何よりも駆使するのは、自分の目だ。Webサイトを改善する上で、この「目の動き」が重要な情報を含んでいる。Webサイトのどこに注目したか、情報をどのように探したかが、視線に表れるためだ。アイトラッキングは、視線の動きという言葉にできない無意識の行動を基にユーザビリティを分析する。これにより、Webサイトを改善しようとするものだ。

 利用者一人ひとりの評価やニーズを分析することは、Webサイトのユーザビリティを改善する上で効果的だ。例えば様々な利用者に直接インタビューをすれば、属性ごとのニーズや不満を聞き取ることはできる。ただし、インタビューの場合、「自分の行動をきちんと言葉にして説明できずに、後付けの理由を作ってしまう人も中にはいる」と、アイトラッキングを手がけるNTTデータキュビット(東京都千代田区)コンサルティング本部Webユーザビリティ担当主任の三上慎一氏は指摘する。

 以前は、視線の動きを追跡するには被験者が専用の機器を装着する必要があり、機器を意識しない状態での視線の動きを観察することは難しかった。しかし、最近では機器を装着せずに済む計測器が登場。アイトラッキングをマーケティングに活用しやすくなった。

 Webサイトでアイトラッキング分析をする場合、視線の滞留時間(注視率)や視線の軌跡が分析の対象となる。注視率分析は、被験者が見つめる時間が長い場所ほど赤くなるといった色の分布によって、よく見られる領域を示すもの。視線の軌跡を分析する時は、被験者が画面をどのように見ているかを、見た場所と順番で示す。この二つの手法を組み合わせることで、コンテンツやナビゲーションの配置などを検証することができる。

 アイトラッキングの結果をWebサイトの改善に生かす際には、被験者に別途「なぜここで迷ったのか」などの話を聞くことで、具体策が見つけやすくなる。男性、女性といった異なる属性の被験者の視線の違いを分析することも有効な方法だ。