写真 1ペニー硬貨より小さいAtomプロセッサ。
写真 1ペニー硬貨より小さいAtomプロセッサ。
[画像のクリックで拡大表示]

 Atomは,米Intel社が2008年3月にブランド名を明らかにし,同年4月に正式発表した低消費電力のプロセッサ。6月に出荷開始された。

 大きく分けて,携帯電話やMIDと呼ばれる携帯端末向けのZシリーズと,Netbookと呼ばれる低価格ノート向けのNシリーズがある。

 Zシリーズは,元々「Silverthorne」(シルバーソーン)というコード名で開発されていたもので,従来,英ARM社のARMプロセッサが主に使われていた市場を狙ったものだ。非常に消費電力が低く,最も低い「Atom Z500」のTDP(最大消費電力に相当)は0.6~0.7Wである。サイズが小さく,写真の1ペニー硬貨(直径19mm)より小さい。

 一方のNシリーズは,「Diamondville」(ダイアモンドビル)というコード名で開発されていた。DothanコアのCeleron MやIntel A100/A110といったノート用の超低消費電力プロセッサの後継で,TDPは従来の半分近くに抑えられている。現在主流の「Atom N270」は,台湾ASUSTeK Computer社の「Eee PC」や台湾Acer社の「Aspire one」などのNetbookに採用されている。Eee PCの場合,Celeron M 353を搭載していた旧モデルとAtom N270を採用した新モデルを比較すると,バッテリ容量が3割増えたのに対して,バッテリ駆動時間は3倍弱にまで延びている。

 Atomは,単に最大消費電力が低いだけでなく,CPUの状態を細かく変化させて,消費電力を抑える機構を持っている。これを,「ディープ・パワー・ダウン・テクノロジー」と呼ぶ。

 なお,Nシリーズの派生で,省電力機構だけを省いたデスクトップ向けの「Atom 230」「Atom 330」などがある。Atom 230は,Atom N270とほぼ同等の性能で,Nettopと呼ばれる低価格パソコンに採用されている。なお,Atom 330は,1つのCPU上にAtom 230を2基搭載してデュアルコアを実現した「マルチチップ・モジュール」と呼ばれる方法を採用したCPUである。