写真1●伊藤忠テクノソリューションズの目白坂データセンターでは天井に断熱材を使ったカーテンを取り付けている
写真1●伊藤忠テクノソリューションズの目白坂データセンターでは天井に断熱材を使ったカーテンを取り付けている
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写真2●ソフトバンクIDCの東京新宿データセンターにあるColdMall
写真2●ソフトバンクIDCの東京新宿データセンターにあるColdMall
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 ホットアイルとはサーバー・ラックの列で区切られたサーバー室内の空間のうち,サーバーの排熱だけを集めた空間を指す。逆に,コールドアイルは,空調機が送り出してサーバーが吸引する冷気を集めた空間を指す。ホットアイルとコールドアイルを明確に区分けすることにより,空調機を使って冷却した空気を効率よくIT機器に供給できる。サーバー室内の冷却効率が向上し,空調機が消費する電力を削減できる。

 サーバーやルーターの多くは,前面から空気を吸い込んでプロセサなどの内部部品を冷却し,背面から排気する構造になっている。このためラック前面が接する空間をコールドアイル,背面側をホットアイルにすることが多い。ラックを2列並べる場合は,ラックの前面同士を向かい合わせてコールドアイルを作る手法が一般的だ。

 ラックの前面と背面が向かい合うようにレイアウトすると,別のIT機器が部品を冷却するのに使った排熱を吸い込むことになる。このため,IT機器の冷却効率が低下し,故障率が上がったり,熱だまりが発生したりする。

 通常は温度の異なる空気をラックのきょう体そのものを使って区分けする。この場合,ラックの上部空間などで冷気と熱気が混ざってしまう恐れがある。そこで,カーテンや断熱材を使ってより厳密に空間を分ける手法を採用するケースもある。

 伊藤忠テクノソリューションズが2008年10月に東京都内に開設した目白坂データセンターでは,ラックの上部や通路を断熱材で囲い,床下から送り出された冷気が漏れるのを防いでいる(写真1)。ソフトバンクIDCの東京新宿データセンターでは,ラック前面の空間を完全に囲い込む「ColdMall」と呼ばれる仕組みを導入している(写真2)。