図1 簡単に新規gTLDが登録できるようになる
図1 簡単に新規gTLDが登録できるようになる
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 「.com」や「.net」といったgTLD(分野別トップレベル・ドメイン)に続々と新しい仲間が追加されることになりそうだ。2008年6月26日,インターネットのドメイン名やIPアドレスを管理する国際機関ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の理事会が,新しいgTLD追加の原則を決定した。今までの「必然性のあるものだけを個別に認める」から,「不都合がなければ認める」に方向転換した。

 どのように変わるのか。これまでの追加方法と比べてみよう。

 gTLDを管理するのは,「レジストリ」と呼ぶICANN認定の事業者だ。レジストリはgTLD用のDNSサーバーを運用し,gTLD配下のドメイン名を管理する。新規gTLDは,そのgTLDのレジストリになろうとする企業が申請する。

 今までICANNは,申請した企業がレジストリとしての技術的能力や財務的な基盤を備えていることに加えて,新規gTLDのドメイン名としての「意味」や「価値」も審査していた。結果としてgTLDの追加はなかなか実現されなかった。1998年にICANNが発足して以降,追加されたgTLDは,「.biz」,「.travel」など13種類にとどまっている。

 これからも,レジストリとしての資格審査は変わらない。しかし新規gTLD自体は,既存のgTLDと似ていたり,登録商標と同じだったり,道徳的に問題があるといった“特別に不都合があるもの”を除いて,原則として登録できるようになる(図1の変わる点)。

 具体的な受け付けプロセスはまだ決定していないが,ICANNは早ければ2009年第2四半期に新規gTLDの登録受け付けを始める見込みだ。

 ただし,企業が専用のgTLDを取得して,自社だけで使用するのは難しそうだ(図1の変わらない点)。企業がレジストリとして「.nikkeibp」といったgTLDを登録しても,その配下のドメイン名の登録をコントロールできないからだ。配下のドメイン名は,ユーザーがドメイン名登録業者(レジストラ)を通してレジストリに登録することになっている。レジストリは,レジストラからの登録を機械的に受け付ける。

 レジストリは,ICANNが認定したレジストラが登録業務を希望すれば,契約を拒めない。例えば苦労して「.nikkeibp」というgTLDを登録しても,アンチサイト運営者がレジストラを通して「anti.nikkeibp」といったドメイン名を取得してしまうのを防げないからだ。